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【映画レビュー】『岬の兄妹』の面白かったシーン3選

★5/★5

なんて見てるのがきつい映画なんだ。。

 

約100文字あらすじ説明

ある港町に、身体障碍の兄と、知的障碍の妹が2人で暮らしていた。

兄は造船所で働いて生計を立てていたが、リストラされてしまう。

家賃も払えず電気も止まり、いよいよ食べるものもない極限状態。生きるため、妹の売春で金を稼ぎ始めるのであった。。

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

あらすじを読んでいただくと分かる通り、かなり嫌な気分になれる映画です。

救いが無さすぎて正直見ていて辛かったのですが、展開が気になって1度見始めると目が離せず、90分があっという間でした。

以下、個人的名シーン3選です。

 

 

 

1.うんこで攻撃するシーン

兄が妹の売春で稼いだ金を、高校生(中学生?)の集団に奪われそうになります。

兄は左足が不自由なのもあり、集団に襲われてはひとたまりもありません。

 

そこで兄が行った最終手段が、脱糞でした。

 

自分のうんこを敵の顔面になすりつける攻撃は効果覿面で、高校生たちはたまらず逃げていきます。

 

自分のうんこで攻撃するシーンなんて、ジョジョの奇妙な冒険3部のポルナレフ以来でしたので、思わず笑ってしまいました。

 

しかし、笑うと同時に少し感動もしたんですよね。

 

この行動は、尊厳を捨ててでも金を絶対に守るという姿勢を表していて、それだけ生きるのに必死ということなんです。

 

逃げていく高校生たちに浴びせた兄の一言がまた素晴らしかった。

 

『まだまだ出るぞ!』と叫ぶ兄は、笑えるとともに、確かなカッコよさがありました。

 

 

2.妹に売春させていることを問い詰められて、開き直るシーン

兄が金を借りている登場人物(親戚?兄より少し年上っぽい男性)がいるのですが、あるきっかけで妹に売春させていることがバレてしまいます。

 

当然、めちゃくちゃ怒られるのですが、その際の兄の一言が素晴らしい。

 

『しょうがねえじゃん!金ねえんだからさあー!!』

 

こんなにハッキリとした開き直りはなかなか見れません。

 

このシーンは是非、実際に見て欲しい。俳優さんの演技力に感心しました。

 

上記の言動のように、この兄はなかなかクズな一面を持っていまして、このシーンは特にそれを印象づけていました。

 

しかし、完全にクズなわけではなく、妹に売春させることを葛藤している様子も随所で描かれていました。

 

単純に良い奴、悪い奴とくくることのできない人間味を持ったキャラクターになっており、そういった点が個人的に高評価です。

 

 

3.妹を客の1人と結婚させようとするシーン

売春行為を繰り返していたので、物語終盤で妹は妊娠してしまいます。

 

かといって中絶手術をするにも金がないので、兄は途方に暮れてしまいます。

 

そこで兄が取った行動が、客の1人に妹との結婚をお願いするということでした。

 

この客というのが、登場人物の中でもかなり優しい人物で、妹もかなり好意を持っている様子でした。

 

なので、もしかしたら私も結婚するのかなあと思ったのですが、答えはノー。

 

しかも、妹のことは好きじゃないと言います。

 

この一連のシーンで印象に残ったのは、この客の、『僕なら結婚すると思った?』というセリフです。

 

この客も、身体障碍を持っており、体のサイズがかなり小さいという特徴があります。

 

兄は、前述した通りクズな一面もありましたので、障碍者同士なら妹を受け入れてくれるだろうという考えでお願いしたのだと思います。

 

しかし、妊娠したのがこの客の子だという保証は全くありません。タイミング的にあなたの子だと思います。と兄は客に言っていましたが、これも嘘なのではないかと私は思っています。

(売春のしすぎで妹の局部が痛んでいる描写があり、客を取りすぎて誰の子か分かるとは思えない)

 

この客は、そういった兄の考えを見透かしているようでした。

 

実際、私ももしかしたら結婚してくれるのではないかと思っていたので、自分の考えも見透かされたようでこのセリフにはハッとさせられました。

 

 

感想

物語の中心は兄なのもあり、兄のクズさ(面白さ、人間らしさ)がかなり見応えがありました。

 

しかし、兄がやっていることは善ではありませんが、果たして悪といえるのかなと思いました。(法律的には犯罪で悪なのでしょうが)

 

劇中では、妹のことは兄が助けようとしていましたが、兄のことは誰も助けてくれないんですよね。

 

兄は左足に障碍があるので、本来は自分の生活で精一杯なはずです。

 

そこに知的障害の妹の世話もしなければならないのですから、追い詰められて犯罪に手を染めてしまうのも無理はないと思いました。

 

助けを必要としている人間が、助けを受けられず、しかし誰かを助けなければならない。

 

実際の社会問題でいうと、老々介護などが思い浮かびました。現実にこのような状況になる可能性は十分考えられます。

 

もし自分が兄のような苦しい状況になったときに、果たして正しい行動だけで生きていけるのか?そういったことを考えさせられる映画でした。

 

U-NEXTで見れましたので是非。

 

以上、閲覧ありがとうございました。